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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
現実ではなくなったこと、そして、作家は制作から実務(ビジネス)にうつったこと、作家が、読者とのいきさつを正当にとり戻さない限り、読者は作家との正当なありようをもち得ないことなどをかきました。そして文学をてだてとして、常識の日常をかためる典型として石川があらわれていること等を。
私は作家として、やはり作家の責任というものを感じ、その面との相関的なものとしてでなくては云えません。只の社会現象としてだけ切りはなして大宅氏が、半インテリ論をするようには云えない。そして、それはごく当然のことです。
さて、『婦人朝日』の三十枚の小説はどんなのをかきましょう。それ迄にこまごましたもの三つ四つまとめておいてね。オランダの女王は六十歳のおばあさんです。そのひとにとって自分の国の堤を切る心持はどのようでしょう。レムブラントの絵はどんなにしまわれるでしょう、ヴァン・ゴッホの絵は。おばあさんの女王は、どんな顔つきで執務して居られることでしょうね。大した働きてだそうです。その姿がフランドル派の絵のようですね。室内の絵の質も歴史とともに様々ね。
五月二十八日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕