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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

六月二十二日

外米のカユはそれは風雅よ。全く浮世はなれて居ります。ヴィタミンが欠乏ですから(外米は)その点に特別の注意がいるそうです。あなたの方もどうぞそのおつもりで。私はオリザニンをのみますけれど。

私の左の足の拇指のはらが素足でバタついて、何かとがめてはれて、うんで、きょうは痛いの。珍しいことがあります。メンソレつけてなおすつもり。何と仕事がたまってしまっているでしょう。実にやりきれない、校正(小説集)は出てきているし。仕事なしで(出来ないで)十日すごすことは楽ではありませんですね。ではこれは初めの手紙の改訂版よ。どうか疲れをお大切に、呉々も。

六月二十二日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

六月二十二日  第四十二信 島田の五つを入れると、ね。

ああ、ああ、あーっ、というところよ。今午後四時。やっと日本評論の「昭和の十四年間」を八十八枚終りました。やっと肩のしこりがとれたようです。永い間の宿題で、本当に胸がスーとしました。十四年間の歴史は短いようですが決してそうではなくて、この数年間の動きは実に複雑です。一貫した現代文学史は一つもないから、こんなスケッチのようなものでも、せめて若い読者にそういう意味でのものを与えたくて。