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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
います。この爺さんの短い蒙古史のエピソードを戯曲化したものをこの間よんで、この老人のなかにある麗わしい心情と、現実判断の標準の常識性とのために、小説をかかなくなった心的機微を感じましたが、この写真みるといよいよそうです、芸術家が変に玲瓏となるのは考えものね。
今泰子がこのテーブルの端にだっこされて来てお乳をのんでいます、いろいろのことで発育がおくれていてああちゃん大心痛です。可愛いようなすこし気味わるいようなところがあって。
太郎は幼稚園をやめてしまいました。どういうわけか分らず。書生君は大したてこずりもので、近日中保証人のところへあずけるのだそうです。そうしないと安心して、国府津へもゆけないからだそうです。国府津では今年咲枝も海水を浴びるつもりだそうです。「だそうです」つづきで可笑しいこと。
今夜、うちの手伝のひとがやっと参ります。これは吉報でしょう。岩手のお医者さんの妹で友達の紹介です。ユリのお人となりにふれることが何よりの修養とお兄さんが云ってよこしているので私は恐縮です。こまるわねえ。そして大笑いね。特別の人ではないのにね。多賀ちゃんは十一月頃受験して年内にかえるつもりのようです。