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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

九月七日

裁判所ではあれこれの方法で顕治を出廷させようとして、ある時は拘置所へ出張して公判をつづけようとしたりした。その後、この手紙の時期になって裁判所は顕治を一時拘置所外の療養所へでも入って治療を許可するかのような口吻をもらした。そのことを顕治は百合子につげる時、「多分そんなことは実現しないだろうが」ということをくりかえしつけ加えながら、それでも万一そうなったとき必要な買物などはしておいた方がいいねと云った。顕治の拘禁生活七年目、彼が三十三歳であった。裁判所のこの思わせぶりには転向が条件として附せられていたことがわかったので、顕治は断った。九月六日の手紙と、それに対する顕治の十日の返事はこのいきさつにふれている。

[自注5]そういう会――情報局の編輯者を集めての会議。

九月七日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(※(丸1、1-13-1)満州国民衆風俗「路傍の肉屋」、※(丸2、1-13-2)国立公園富士・鈴川より「橋畔に立ちて」、※(丸3、1-13-3)国立公園富士・清水港より「港から」の写真絵はがき)〕

※(丸1、1-13-1) 九月七日、サイレンが鳴ると、ソラと云って、私も昔の父の仙台平のハカマを縫い直したモンペをはいて熊の仔のような形で出ます。