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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

うちのはひどいのよ、余りだから、この間も西川で見て、そのまわりを廻っていたけれど、どうしても手が出なくて、その話が出たら何の風の吹きまわしかおくりものにしてくれるのですって。大いにうれしいと思っているところです。

それから、十二月はうちへ炭が配給されることになりました、二俵よ。これもやっぱりうれしゅうございます。私は正直に手持ちを書いたのですが、それでも来ました。三人で二俵でしたが、二人では一俵よ多分。いろいろの可笑しな話。世田ヶ谷の方で、ボロ家が四百円に売れて、ガスの権利は千円ですって。価格統制をきめるとき水道とガスのフーッという権利というところまで考えが及ばなかったのね。儲ける人って何と頭が敏活なのでしょう、ふき出すほどうまく思いつくのね。

この頃はいろいろな女のひとが本をかきます、本やはどこかに大迫倫子や野沢はいないかと、変なものでも出すのです。そういう著者が批評を求め、或は会いに来ます、閉口ものが少くないのは残念です。世間の波が藻を打ちあげるようです。亡くなった仁木独人の妻のようなものであったひとがやはり本をかいて出して居ります。いろんな云いまわしを知っている女のひとの喋るような文章です。