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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

きょうあたり行ってしまっていやしまいかとすこし気がかりです。三十日ごろ稲ちゃんに偶然遭ったぎりで。

大工に物干のぬけたところ三十日に直させ、風呂場の戸の下のくさっているところ、台所の下のくさったところ直し、用心に恭子の部屋と台所との境にカギをつけ、台所から内への境にも、便所にもカギをつけ、階段下に戸棚を切って、これまであった戸棚をよくつかえるようにしました。それだけで三十円ばかり。

林さんが(大家さん)畳直すならということですが、半分こちらもちですし、今急に暮にかかってさわぐにも及ばないから、畳はこのまま。下の部屋の模様がえをして、タンス類を四畳半に全部うつし、本棚におきかえます。着物のもの、髪道具、顔のパタパタが、六畳にあるとすこし工合わるく、前からその計画だったのですが、ふさがっていたから。本棚は、御飯たべるにも本はうんざりと思っていたのだけれど、考えてみれば柔かい色のカーテンをかけておけばそれでいいわけですから。その二十日迄のキューキューが終ったら、一つ鉢巻をして移動をやります。林町では暮に私の慰労として坐布団をくれますって。これは大変うれしゅうございます。