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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
だって、ねえ。ああ、まだつづきそう。もう一枚。
そちらでは、お正月のお菓子いかが? こちらは甘味ぬきかもしれません。中村やは「午前八時にヨーカンを売リマス」ですって。私は大変くいしん棒ですが、どうもお菓子のために朝からかけまわる勇気はありません。お正月の東京と鮭とはつきものなのに、今年は鮭もないのよ。うちは組合でうまくなさそうな鮭買いましたが。ミカンはあるの。リンゴと。お互に似たようなものでしょう? そして、私は女房心で心痛しているのよ、シャボンはどうなるのだろうと思って。あなたの夏はせめてアセのおちるシャボン、泡の立つシャボンあげたいと思って。
五六年ばかり前、上落合の時分、百円とすこしで暮していました。不思議のようね。今の物の高さ。家賃が今のままで本当に助ります。この頃はよくよくのことでなければ円タクにのりませんから。五割ましよ。一円メーターに出ると .50 足すのよ、林町迄 .80 だったのが 1.20 ね。ですもの。のりません。
林町の連中も一家眷族で市電よ。これは私は大賛成です。特に太郎が大馬鹿三太郎と改名しないために、大賛成です。来年小学校。