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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

それで余りいやだからもう一つ四畳半がのらないかと思って国男さんに相談したら、五百円でも無理のよし。防火材がなくてはならないから。坪二百円でも駄目では三間で36、もするわけです。

きのう、道でルーズリーフの手帖を買おうとしたらデパートなんかにはありませんでした。ルーズリーフをつかおうというわけは、ちょいちょいいろいろかくのです、耳にとまった会話、景色、そのほかいろいろ。これまでどの位ちょっとしたノートや紙切れにかいたでしょう。けれどもそれをちっとも整理してないのです。だから、何か小説をかくとき、季節のことや何か、不便です。それでハハアと今ごろ(!)気がついて、ルーズリーフをつかって、それをはずしてファイルして月雪花からあらゆることを整理しておこうと思いついたのです。よんだものについてのメモにしろ。そしたらいざというとき引くのに楽です。これまで大衆作家やジャーナリストしかそういうことはしなかったようですが、ちがった内容でそれがされることも私たちにとっては決して不自然でないのですもの。生活の環と内容が大きくなると、やはりその必要というか便利かが生じます。