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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

二月二十五日

あの僅の金の中からどうしてたまるのでしょう、金のつかい道もないところの暮しなのだろうと思いやります。

達ちゃんに送る本はこれまでも皆島田へ送りかえされて来ているそうです、多賀ちゃんと富ちゃんがよんでいたそうです。時間がないのでしょうね、そちらへたよりがありましたろうか。

隆二さんたらこんどの手紙には饅頭づくしです。人を見込んで書くにあらず、自然にそうなるなり、なお悪いと笑うだろうか、とありました。この前のは羊羮づくしで、何とか彼とか菓子やの名を並べて千金賜えとあるから、そんな店があったかしらと返事にかいたら、一銭おくれということなり、と三ヵ月もたって教えてよこしました。一銭より千金たまえの方が景気よい由です。相変らずです。栄さんは妹母子を送って高田へ雪見にゆきました。二人でやっていたのは中途ですが。

どうぞお大切に。月曜日に。

二月二十五日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 目白より(封書)〕

二月二十五日  第十九信

きのうの速達。そしてけさ二十一日づけのお手紙前後してつきました。きのうの分から。

書物のこと承知しました。おっしゃっている本もずっとあの頃から一つ包としてあります。