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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

一体何の音かしらん」

暗さは暗し、何の音だか、さっぱりわからない。その音のしている見当は、どうやら頭の上らしいが、またそうでもないような気もする。

その怪音は、やがて更にきいんと、高い音になっていったかと思うと、そのうちに、すうっと聞えなくなってしまった。

「あれっ、音がしなくなったぞ」

音はしなくなったが、千二は、前よりも何だか胸がわるくなった。腐った物を食べたあとの胸のわるさに、どこか似ていた。千二は、さっき家を出る時に食べた、夜食のかまぼこが悪かったのではないかと思ったほどである。

しかし、これは決して食あたりのせいではなかった。いずれ後になってはっきりわかるが、千二が胸が悪くなったのも、もっともであり、そうしてそれは食あたりではなく、原因は外にあったのである。

千二は、ついにたまらなくなって、道のうえに膝をついた。

とたん、さあっと音がして、雨が降出した。この時冷たい雨が千二の頬にかからなければ、彼はその場に長くなって、倒れてしまったかも知れない。だが、幸運にも、この冷たい雨が、千二をはっと我にかえらせた。

「うん、これはしっかりしなければだめだ」