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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
香の物は、なるべくたくさんの種類がはいっているのがいいそうである。
ぽっぽっと、湯気の立つ皿の上をながめて、彼は、まだ食べない先から、盛に、ごくりごくりと唾をのみこんでいる。
こうして用意がすっかり出来る。そこで彼は大きなため息を二つ三つして、はじめて瀬戸物製の大きなスプーンを左手に握るのである。彼は、左ききである。
「ああ、これゃ熱くて、口の中が火になるぞ!」
彼は、頬をふくらませて、皿の上にもうもうと立昇る白い湯気を、ふうっと吹き、そうして山のように盛上ったライスカレーへ、左手に握った瀬戸物のスプーンをぐさりと突立てるのである。あとはただ夢中で、馬のように食う。――これをやると、佐々の頭は、急にたいへんによくなるそうである。
当人はそれでいいが、迷惑をするのは机を並べている同僚だ。なにしろ、これだけのカレー料理を、佐々は自分の机の上で作るのである。誰がなんと言っても、彼は、断然自分の机の上で作る。そのために、彼のカレー料理が始ると、捜査課の中は、カレーのにおいがぷんぷんする。時には、警視庁の建物全体がカレーくさくなる。
佐々刑事の自席料理のため、恐るべきカレーの毒ガスが、警視庁のどの部屋といわず、どの廊下といわず、はいこんでいくのであるから、これまで幾度も問題になった。