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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

そうして、しばらくピントを直していたが、そのうちに、大きな声をあげた。

「おや、これはめずらしいものにお目にかかるぞ」

新田先生は、博士のうしろから、

「博士、そこに見えている、動く物体は、一体何でしょうか」

と、せきこんで質問の矢を放った。

「これかい。これは宇宙艦さ」

博士は、それを宇宙艦と呼んだ。

怪人丸木は、それを火星のボートと言ったのである。

新田先生は、口の中で、

(なに、宇宙艦! 宇宙艦とは?)

と、くりかえした。宇宙を走るから、宇宙艦というのであろうか。

博士は、望遠鏡に食いついたようになって、しきりにその宇宙艦のあとを目でおいかけている。

「おお、まちがいなく宇宙艦だ」

「博士、宇宙艦というのは何ですか」

「宇宙艦は何だと聞くのかね。宇宙艦は、わしの友人が、一度報告書に書いたことがあった。しかし、誰もその友人の報告書を信用しなかったし、その友人はまもなく急死してしまったのだよ。結局、その友人は、脳に異状があったため、ありもしないそんな変なものを見たように、報告したのであろうということだった。わしも、正直に言えば、その友人が、変になっていたのだと思っていた。