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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
果して、もう大丈夫であった。さっきのように、気分が悪くなりはしなかった。するとあの毒気のようなものは、やっぱりあの怪物体からふきだしていたものにちがいない。
「湖水の中におっこって、どうしたかな」
千二は、そろそろ天狗岩の方へ、にじりよって行く。
うす桃色に光っていた怪物体が、天狗岩の上から姿を消すと、つづいて起る大きな水音! 千二少年が、暗闇の中を這って天狗岩に近づいたのは、その怪物体が、どうなったかをたしかめるためであった。多分この怪物体は、湖水の中に落込んだものと思われた。
千二は、もう天狗岩の上に来ていた。
彼は、そこで懐中電灯をともした。
「さっきは、このへんに怪物体が立っていたんだが……」
そう思って、岩の上を見ると、果して岩の上は大変に壊れていた。岩層がすっかり出てしまって、あたりにはその破片が散らばっていた。
千二は、びっくりしたが、自ら気をひきたてて、天狗岩の先の方まで這って行った。
その岩の鼻のところは、別に何ともなっていなかった。苔もむしていたし、風化をうけて岩肌はすすけたようになっていた。
「さあ、この下の淵に何が見えるか。気が遠くならないように、お臍のところに力をいれなくては……」