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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「ぶうーん」

「あっ、いた――」

とつぜん、佐々の顎に、相手の鉄拳が、ごつんとはいった。彼は、顎が火のようにあつくなったまでしかおぼえていない。佐々は、はり板をたおすように、どすんと、うしろへたおれた。そうして気を失ってしまった。

首のない怪人は、ここで、にやりと笑いたいところであったろう。しかし首がないので、笑うわけにはいかない。

そこで彼は、ちょっとしゃがむと、両手をのばして、うしろに落ちていた首をひろい上げた。

怪人が、首をぽろりと落した。

佐々刑事も、そこまではちゃんと見ていたから、間違ない。

ところが、そのあとで、怪人は腕をのばして、自分の首をひょいと拾い上げたのだった。その時には佐々刑事は、怪人から一撃をくってひっくりかえっていたから、何も知らない。もしも、そこまで見ていたとしたら、恐らく、佐々刑事は自分の目をうたがって、発狂してしまったかも知れない。

怪人が、首をぽろりと落したこともほんとなら、また、首を拾い上げたことも、ほんとであった。

「そんなばかなことが!」

と、叱られるかも知れない。だが叱られても仕方がないのである。あたりまえの考え方では、首がぽろりと落ちれば、その人間は死んでしまうのだから。