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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

だが、そんなことで離れるような相手ではない。

ひゅう、ひゅう、ひゅう。

かの怪物は、うなり出した。

「うぬ、この野郎!」

千二は、もう必死だ。相手が離れないと見ると、そのままずるずると相手をひきずって、岩の先の方へ――。

怪物は、驚いたか、また一段とうなりごえも高く、妙な紐で千二の首をしめつける。いよいよ千二の息は、止りそうだ。死んではならない。その時千二は、

「えい!」

と叫んで、どうと横に転がった。

千二は、怪物もろとも、どうと横にころがった。にぶい音がした。怪物が、横腹をうったのである。

天狗岩のうえを、千二と怪物とは、取組んだまま、上になり下になり、ごろごろと転がる。

「なにくそ。負けてたまるものか」

と、千二はどなっているが、実のところ、どうやら怪物の方が力がつよいようだ。千二は、すこぶる危い!

「ま、負けてたまるか!」

そのとき怪物は、千二のうえにのしあがって、があんがあんと、かたい身体を千二にぶっつけるのであった。その痛いことといったら、まるで自動車につきあたられるような気持であった。怪物は、千二をおしつぶすつもりらしい。

このとき、千二の気持は、かえってだんだんおちついてきた。