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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

わりあいに落着いて、パイプを口にくわえて、この有様を見ていた老いたイギリス人が、がてんがいかないという風に首をふりながら、

「あいつら、何をさわいでいるのか、わしには、とんとわからん。地球がこなごなにこわれてしまうものなら、いくら札束を持っていても何にもならんじゃないか」

すると、そばを通りかかったアメリカ人らしい若者が、

「おじいさんには、わからないのかね。僕は、銀行にあずけてある金を全部引出して、さっそく大きい風船をつくるのだ。ガスタンクほどもある大きいやつをね」

「ほほう、そうかね。そうして、その風船をどうするのかね」

「つまり、彗星が地球に衝突すると、地球が、こなごなになるでしょうがな。とたんに僕は、その大きな風船にぶらさがるのさ。すると、足の下に踏まえていた地球がなくなっても、僕は安全に宇宙に浮かんでいられるというわけさ」

若者は、とくいになって言った。

「そうかね。それもいいが、わしは、彗星が地球にぶつかる時、お前さんの風船だけを残していかないだろうと思うんじゃが……」

と老人が言うと、若者は、な、なあるほどと言って、とたんに腰をぬかしてしまった。