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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

すべては愛情でいきたいものである。敵前上陸とか、火星人征伐とか、そのようなおよそ火星人の気持を悪くするような言葉は、つつしまなければならないと思う。話は、わき道にそれたが、このことだけは、くれぐれも賢い諸君にお守り願わねばならぬ」

そう言って、リーズ卿はそこで深いため息をついたのだった。

リーズ卿は、蟻田博士ほど火星の生物について、ふかいことは知らないような放送ぶりであった。果して卿は知らないのであるか、または知っていても言わないのか、そこはまだよくわからない。

蟻田博士が、リーズ卿の放送を聞いたら、どんな感想を持つであろうか。ざんねんながら、蟻田博士の行方は知れないのであった。くわしく言えば、昨年の東京地方の大地震以来、どこかへ行ってしまったのか、それともまた、どこかの軒下で押しつぶされたのか、とにかく博士の消息はさっぱり聞かないのであった。

リーズ卿の放送は、実は、まだもっと先があったのである。

「とにかく、この二つの心配――つまり、火星の空気がうすいことと、火星人と仲よく助けあって住んでいられるかどうかということ――この二つの心配が、火星移住をきめるについて、暗い影を投げる」