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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

附近に地獄沢というところがあって、そこは地中からくさいガスがぷうぷうとふきだしていて、一キロメートル四方ばかりは草も木もなく、ただ一面に、灰色の石ころの原になっていた。掛矢温泉に湧出る湯も、実はこの地獄沢からぷうぷうふきだしているガスによって、地中で温められている地下水だった。

新田先生は、この温泉に落着いた。

このように、掛矢温泉がさびれているわけは、地下から湧出している温泉が、時々ぴたりととまって、温泉がお休になるせいであった。そのお休も、一日や二日のことではなく、時には半年も一年もとまっていることがある。それでは客が行くはずがない。新田先生は、学生時代ここへ時々行ったことを思い出し、今度も病後の体をこの湯で温めようと思って足を向けたのだ。

掛矢旅館を、ひょっくりとおとずれた新田先生は、そこの主人の弓形老人から、たいへん歓迎を受けた。

「ああ、新田さんだね。いい時においでなすった。長いこととまっていたうちの温泉が、一昨日からまたふきだしたんでがすよ。これがもう三日も早ければ、せっかくおいでなすっても、お断りせにゃならないところじゃった」

「ああ、そうかね。