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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「もう、行くんですか」

と、新田先生は、少し心細くなって、声をかけた。

「そうだ。こんなところにぐずぐずしていて、本物の丸木やそのほかの火星人に見つかっては、せっかくのわしの冒険も、とたんに、だめになってしまうからね」

「あ、ちょっと待って下さい」

と、新田先生は、佐々刑事を呼止めた。

「佐々さん。ぜひ、この際、伺っておきたいのですが、丸木と火星人とは、別ものなんでしょうか。それとも同じ火星人でしょうか」

「そりゃ、同じことさ。丸木も、確かに火星人だと思われる」

「でも、見たところ、服装が違うじゃありませんか」

「うん、もちろん、丸木という奴は、火星人の中でも、頭かぶの火星人らしい。しかし火星人であることは、同じことさ。丸木は、黒い眼鏡をかけたり、黒いマントを着ているが、わしの考えでは、あれは、人間に近づくため、ああしているのだと思うね。つまり、あの蟻の化物みたいな、火星人独得のへんな体を、見られないためさ」

「じゃ、丸木も、マントを脱ぐと、火星人と同じことですか」

「確かに、その通りだ。しかし、マントを着ていてくれて、こっちは大助りさ。もしも丸木が一般の火星人と同じように、蟻の化物みたいな体をむき出しにしていたら、こんどのように、わしは、彼らの陣営に忍びこむなんてことは、出来なかったろうねえ。