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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「ほう、来たぞ、来たぞ。あれはきっと、火星人だよ」
「うん、そうらしい。黒い長マントを着ている。橋の上にも知らせてやれ」
「しいっ! 騒いじゃだめじゃないか。火星人にさとられると、だめになっちゃうじゃないか」
下の組は、橋の上へ石をほうり上げて、火星人の近づいたことを知らせた。上の組でもあやしい影が近づくのを、さっきから気づいていたのだった。
それを知ってか知らないでか、火星人はしきりにあたりに人間がいないかと注意をしながら、ゆったりゆったり歩いて来る。そこを、待っていた小学生が、それというので上下からわなの綱を引いた。
小学生と火星人との戦いだ。
火星人は、大変あわてている様子である。何しろ、足の方を太い綱で作ったわなにしめつけられて走れないで困っているのに、陸橋の上からは、また別のわなが落ちて来て、火星人の胴中を、ぎゅっとしめつけているのだから……。
「ほら、もっと引け!」
「もっと引くんだ。火星人を生けどったよ」
「わあい、火星人の宙づりだ」
上と下との十人組が、火星人を互にひっぱり合うものだから、かわいそうに、火星人は、陸橋の下に宙ぶらりんになってしまって、まるでくもの巣に、蝶々がひっかかったような有様となっていた。