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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

火星人は、きいきいと声を立てた。

「どうじゃ、気持がよくなったろう。当分まあこれで、しんぼうしているんだ。もうあと、しばらくすれば、火星へつれて帰ってあげるから、元気を出しなさい」

博士の言葉を、新田先生は、ふと聞きとがめた。博士はこの火星人をつれて、火星へ行くと言ったではないか。

「どうかね、薬をぬると、しみるかね」

と、蟻田博士は、やさしく火星人にたずねた。地球の人間はきらいだが、火星人は好きであると見え、別人のように、やさしい声を出す博士であった。

「博士、だいぶんしみます。しかしわたしは、我慢していなければならないでしょう。そうでないと、いつまでも、もとの体になれませんからねえ」

と、病気の火星人も、たいへん博士を信じて、たよっているらしいことが、その言葉つきからも、うかがわれた。

そばでこの有様を見ていた新田先生は、全く不思議な気がした。

「博士、その薬は、よほどきく薬らしいですね。一体どういう病気にきく薬なのですか」

と先生がたずねると、博士は、

「どういう病気といって、こういう病気にきくのだ。ほら、見ていたまえ。この通り火星人のくさりかかった体が、どんどんきれいに、なおっていく」