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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
その時は、他の星は全く見えなくなりますよ」
「へええ、驚きましたなあ。太陽も月も見えなくなるのですか」
「そうですとも。太陽も月も、地球から言うと、モロー彗星の向こう側になってしまうのですからねえ」
俄か天文学者が急にふえた。
モロー彗星が肉眼で見え出すと、騒ぎは、いよいよ大きくなった。
『モロー彗星対策相談所』とか、『延寿相談所』などという珍妙な看板が、どこの都会にも、十や十五はあらわれた。
人々の中に、何とかしてこの際、自分たちの命を全うしたいものと思い、この珍妙な看板をかけた家の門をくぐる者が少くなかった。いや、少くないどころか、その門前は、順番を待つ人々で、長い列を作っていた。
「さあ、お次は九十番、九十番のお方!」
と、受附の男が呼ばわると、待っていた人は番号札をにぎって、その延寿相談所長室へはいって行くのであった。
「まず、相談料をいただきます。相談料は先払で百円です」
「百円? 高いですね」
「高いと思えばおよしなさい。何しろここで、あなたの家の御家族の命が助かるか、助からないかという場合ですからな。別に私どもは、こんなことでお金をもうけようとは思わないのです。