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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
それは、放送局が停電したわけでもなく、また機械が故障になったわけでもない。放送の監督をしている逓信局が、博士の放送がおだやかでないのに驚いて、がちゃんとスイッチを切ったのである。逓信局では、いつでもこうして、おだやかでない放送はすぐさま止める。
放送室の蟻田博士は、マイクのスイッチが切られたこととは知らない。だから、日本全国の人々が自分の話を聞いているものと思い、気の毒にも、額からはぽたぽた汗をたらして、一生けんめいに、その後をしゃべり続けたのであった。
博士が、その後、どんなことをしゃべったか、それは放送が止ってしまったのであるから、外に洩れなかった。だから、ここにはなんにも書くまい。
博士が、放送を終えて室を出ると、そこには、その筋の掛官が待っていた。おだやかでない博士の放送を聞いて、すぐさま自動車で駈附けたらしい。
博士は、その場からその筋へ伴なわれていった。そうして大江山課長という掛官で一ばんえらい人から、「しゃべってはならない」と命令された。
「なぜしゃべっては悪いのですかな。わしは苦心の末『火星兵団』という意味の光を空中に発見した。そうして、それはまさに人類にとって一大事だ。