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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
――火星人が持って来た宇宙艇には、このような不思議な働きをするものが、いくつもあった。
「おう、千二。きょうはきげんはどうかね」
丸木はそう言って、千二のそばへ寄って来た。
「はい、上きげんであります」
千二は、あざやかな火星語でそう答えた。
丸木は、手足をばたばたと動かした。それは、うれしいという気持をあらわしているのだった。
火星人は植物だから情心などはなかった。しかし丸木は、火星人の中でもすぐれた人物だったので、このごろ情心というものを自分の心にも植えてみようと思った。丸木はそのために、千二を使っているのであった。
千二少年は、あれからずっと丸木のため、きびしく監禁されていたが、少年は一度は大きな悲しみに沈み、その後あきらめたのか、ほがらかになった。とにかく、このいつわりのない少年の心が、怪人丸木を、たいへん動かしたものらしい。
(自分も、この少年のように、情心を持ちたいものだ!)
そう思った丸木は、それから後、いつも千二少年をそばにおいて、少年の悲しみや、笑いや、それからいきどおりや、かわいがることなどを手本にして、自分もそのような感情を湧かそうと、つとめたのだった。