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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

はて?

珍しい大合戦だ。

火星人と人間との、追いつ追われつの合戦だった。いつも人間隊が、みじめにやっつけられていたが、今度という今度は、人間隊は、強きをほこる火星人隊を向こうにまわして、かなり有利にたたかった。

急に静かになったのは、どういうわけであるか。

大江山隊長、蟻田博士、新田先生の三人は、一つところに集って来た。

「博士、新田さん。何だか火星兵の様子がおかしいですぞ」

「おお、大江山さん。にわかに静かになりましたね。博士、これはどういうわけでしょうか」

「さあ、わしにもよくわからん。だが、とにかく今度は、人間部隊の勝ったことには間違なしだ。ひとつ、ここらで威勢よくときの声をあげろ」

「いいでしょう。おい、突撃隊! 大勝利を祝って、大声で、ばんざい三唱だ。それ、ばんざあい」

ばんざい、ばんざあいと、突撃隊の一同は声をそろえて、ばんざいをさけんだ。

そのうちに、もうもうとたちこめていた十号ガスのかたまりが、風に吹かれて、だんだん谷あいの方へすべっていった。そうして、そのあとから、大合戦のあとの血なまぐさい戦場が、あらわれ出たのである。

ああ、何という奇妙な光景であろう。