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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「だまれ。こっちの偵察艇はゆだんをして低空におりたから、ガス弾のために、あんなむざんな最期をとげたのだ。うんと高空から、怪力線をおとせばいいのだ」
「しかし、万一のことがありましては、火星へもどりました時に、われわれは……」
「われわれはおもく罰せられると言うのだろう。いや、とめるな。ここで、わが火星兵団が人間隊に負けたとあっては、火星軍の恥である。どうせ地球人はもう永いことはないのだから、きっと、こっちが勝つにちがいない。全艇に出動命令を出せ」
丸木は、なんと言っても聞かない。
「それに、困ったことが起ると思います」
「困ったこととは……」
「宇宙艇がとびあがると、中にはたたかうどころか、さっさと、また火星へにげてかえる艇が出るにちがいありません」
「そういう艇兵は、あとできびしく罰するから、ほうっておけ。とにかく高空へのぼり、全艇同時に敵の砲兵陣地へ向けて、怪力線を出せば、きっとこっちの勝だ。おい、早く命令しないか」
「はい」
丸木の決心はかたかった。
そこで仕方なく、幕僚は全艇出動の号令をつたえた。全艇出動と言っても、捕虜の番をするため、十名ばかりの火星兵が、あとにのこることとなった。