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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
博士は今、例のせまい研究室の中に、新田先生と一しょにいる。
博士は、そのせまい室内にある操縦席みたいな椅子に、ふかく腰を下している。博士の前には、たくさんの計器が並んでいる。
新田先生は、その隣の座席に、腰を下している。
大江山隊からの電話は、博士の頭の上の高声機から、ひびいて来る。
「大丈夫だよ、大江山君。やがて火星兵団が、君の陣地を攻撃するだろう。しばらく、がんばっていてくれたまえ。あとは、こっちでいいようにやるから……」
蟻田博士は、座席の下から、ぬっと、口のところまでのびている送話機の中に、声をふきこんだ。
「じゃあ、博士、どうかお願いします」
「よろしい。引きうけました」
博士は、たのもしい言葉を、もらした。電話は、そこで切れた。
「博士、ほんとうに、大丈夫ですか」
「うん、自信はあるのだ。まあ、見ているがいい」
「この部屋に、いつまでも、こうしているのですか」
「そうじゃ。じゃが、間もなく、この部屋もろとも、出発じゃ」
「え?」
先生は、ふしぎそうに、聞きかえした。
(この部屋もろとも、出発じゃ!)
博士のいったことは、新田先生には、わけがわからなかった。