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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

「待て待て。とこやさんがやるように、肩のところへ、白い布をかけてくれ」

「博士。ぜいたくを言っては困りますよ。ここは、成層圏ですからね」

「成層圏はわかっているが、とこやさんを、やってもらうには、やっぱり、白い布をかけた方がいいよ。そこにある機械おおいを取って、肩にかけてくれ」

「へい。これですか、機械おおいは……」

千二少年は、機械の上にかけてあった油くさいきれをとって、いい気な博士の肩にかけてやった。

「ふん、なかなかいいぞ。うまく鋏をつかって、こののびた髪を、わしが言うように、切ってくれ」

千二は、博士があまりのんきなので、おどろいた。そうして、鋏をしきりにつかって、長くのび切った髪を、つんでいった。

博士は、いろいろと口やかましく、千二の鋏のつかいかたに、文句を言った。しかし、そのうちに博士の髪かたちは、ととのっていった。

博士は、やがて一変して、若々しくなった。

「博士、ずいぶん、若くなられましたねえ。十歳ぐらいも、若くなりましたよ」

と、となりの座席にいる新田先生が言った。

「そうじゃろう。なあに、もう、おかしくなったまねをしている必要も、なくなったからのう」