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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
それはモロー彗星だった。
丸木艇を追って、大空艇は、なおも、まっくらな空間を、まっしぐらに飛んでいく。
「博士、こんなに追いかけているのに、一向追いつきませんねえ」
と、先生が言えば、蟻田博士は、
「うむ、困ったものじゃ。実を言えば、これぐらいの速度を出すエンジンで、十分だろうと思っていたが、今となっては、不十分だとわかった。今さら言っても仕方がない」
博士は、設計に不十分な点があったことを、すなおに認めた。
「じゃ、いくら追いかけても、だめでしょうか」
「いや、そうともかぎらない。丸木艇が、もし故障でもおこしてくれれば、しめたものだが……」
「なるほど、そうですか。しかし、丸木艇も、なかなか調子よく、にげていくじゃありませんか」
「うむ、敵ながら、感心していたところだ。もうあと百キロばかり間をつめることができれば、ガス弾がとどくんだがなあ」
「ほう、あと百キロですか」
すると、千二が、測距機で、彼と我との間を読んで、
「ええ、丸木艇は、百三十キロのところをとんでいますよ」
「ふふん、そうか。あと百キロぐらい、宇宙の大きさにくらべると、何でもないがなあ」
と、先生はくやしがった。