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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

さあ、あんないしろ」

火星兵団長の丸木は、千二の手をしっかりとって、宙を走り出した。

火星兵団長の丸木のめざすところは、クイクイ岬であった。

丸木は、まるで軽飛行機のように走って行く。丸木の足や触手が、風に吹かれる凧の尾のように、うしろへなびく。

千二は、その丸木に手をとられて、おなじく宙を飛んで行くのであった。

「丸木さん。もうすこし、ゆっくり走って下さいよ」

千二は、いつもおくれがちで、そのために、途中、木にぶつかったり岩石にあたったりして、大事な服やかぶとが、今にもこわれそうで、心配であった。

「ぐずぐず言うな。早く、おれが行ってやらんと、味方が敵にやられてしまうではないか。しんぼうしろ」

そう言って、丸木は、どんどん走る。

そのうちに、前面に、海が青白く光っているのが見えだした。そうして、長い岬がつきだしている。クイクイ岬であった。このクイクイ岬は、まるで戦艦の檣楼のような形をしていた。つまり、細長い要塞だと思えばいいのだ。しきりに、硝煙のようなものが、あがっている。

「ああ、やっているな。おい千二、あれがクイクイ岬だ」

千二は息を、はあはあ切らせつつ、クイクイ岬の様子に、ひとみを定めた。