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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

地球に住んでいる人には、異状がなかったでしょうね」

「さあ、それは、どうかなあ。多分月の軌道もちがったことだろうし、モロー彗星とすれちがうときに、颱風の何十倍かも大きいような大風雨なども起ったり、地球磁気の影響で、思いがけないことがあったり、また、そのようなことが、相当地球の人類をおどろかしたことだろうが、とにかく、外から見たところでは、あのように地球は、あいかわらずきらきらと光っているのだから、そう、しんぱいしなくてもいいと思う」

月が、地球をモロー彗星からすくったとは、なんという、うつくしいことであろう。まるで戦場で、愛馬が主人の兵士を、敵弾からすくったようなものではないか。

蟻田博士を中に、千二と新田先生とは、きらきら輝く地球の方をじっと見つめたまま、うごこうともしなかった。

そのとき、千二が、

「博士は、地球があやうい目からすくわれたことを、前から知っていられたんですね」

と、すこし、うらめしそうにたずねた。すると、蟻田博士は首をふって、

「いや、地球が大丈夫だと、はっきり知ったのは、たった今地球のすがたを、夜の大空に仰いで、はじめて知って安心したんだ」