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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

それで……」

新田先生も、この話には、ちょっと困ったようであった。いくらなんでも、火星の生物が、この地球にやって来るなんて、そんな突拍子もないことは考えられないからである。

しかし千二は、熱心に、そのことを語り出した。

あの湖水へ、夜おそく、うなぎを取りにいったこと、妙な音が聞えたこと、光り物がしたこと、うす桃色に光る塔のようなものが、天狗岩の上に斜に突立っていたこと、それから、妙な鳴き声の、不思議な動物がはいまわっていたこと、千二がそれと取組みあいをやって、天狗岩の上から水面へ落ちたこと、気がつくと、へんなにおいのする部屋にいて、そこへあの丸木と名のる怪人が出て来たこと、その丸木が、「火星の生物が隣にいる」と言い、また「これは火星のボートだ」というような意味のことを言ったこと、丸木に捕えられ、はるばる東京の銀座までボロンという薬品を買うため、丸木は千二を案内人として連れて来たこと、それから例の大事件となったことなど、怪奇きわまるこの数日の間の出来事を、千二はくわしく新田先生に話をしたのであった。

それを聞いていた新田先生は、はじめのうちは、笑いながら聞いていたが、そのうちに、だんだんまじめな顔になり、おしまいごろには、膝を千二の方へ乗出して、ほうほうと驚きの声をあげて、聞入った。