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かせいへいだん

火星兵団

海野 十三

「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页

青空文庫

先生は、警視庁を出ると、すぐその足で東京駅にかけつけ、省線電車で千葉へ急行した。先生は、まず千二の父親に会うつもりであった。

駅を降りてのち、先生は畠と畠との間の道を、例の湖の方へ、てくてくと急いだ。その道すがら、先生は千二のことを何と言って話をすれば一等心配をかけないですむかしらんと、いろいろと考えてみた。

だが、それは、なかなかむずかしいことであった。親一人子一人の仲で、父親は千二のことを目に入れても痛くないほど、かわいがっているのである。その千二が、警視庁の留置場にいることを知ったら、父親はどんなに悲しむか知れない。

新田先生の足は、だんだん重くなった。

ふと気がついて見ると、このさびしい田舎道を、湖の方に向かって、大勢の人々が行きつかえりつしているのであった。

「はて、ばかににぎやかだなあ。お祭でもあるのかしらん」

そう思いながら歩いていると、行きかう二人の話が、ふと先生の耳にはいった。

「どうも、えらいこったね。まだ千二のことを知らんのか」

「知るもんか。千蔵はあのとおりの体だ。そこへ倅の千二のことを聞かせちゃ、かわいそうだよ。悪くすりゃあ、それを聞いたとたんに、ううんといっちまうかもしれないよ」