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かせいへいだん
火星兵団
海野 十三
「大毎小学生新聞」大阪毎日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月31日、「東日本小学生新聞」東京日日新聞社、1939(昭和14)年9月24日~1940(昭和15)年12月30日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 307,889 字 · 618 页
「蟻田博士は変ではないはずです。僕も、むかし教わったことがあって、よく知っています」
「ほう、あなたは、蟻田さんの門下だったんですか。これはふしぎな縁だ。そういうことなら、あなたに一つ、お願いしたいことがあるんだが……」
課長は、ちょっと言いにくそうに、あたりを見廻した後、
「新田さん、怒っちゃあいけませんよ。実は私たちは、蟻田博士が変だと思ったので、極秘のうちに、博士を病院に入れてあるのです」
「えっ、博士を、……」
「何しろあのとおり、火星兵団さわぎをまきおこした本人のことですから、帝都の治安取締上、そういう非常手段をとらないわけに、いかなかったのです」
「ああ、僕は新聞で読んで、蟻田博士が御自分で家出をして、行方不明になってしまったことと思っていましたが……」
と、新田先生は、ため息をついた。
大江山課長は、かざりけのない態度で、その時の苦しい立場を説明し、
「そこで、あなたにお願いというのは、蟻田博士を病院から出して、博士の屋敷へお帰ししますからしばらく博士の様子を見てくれませんか」
「はあ、様子を見ろとおっしゃいますと、どういうことですか」
新田先生は、課長の言う意味を問いただした。