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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

ああと私は思うのよ、あの文芸評論の骨格はこのように成熟して来ている、と。

こんな様々の感想をもって、一休みして、夕飯に下りたら島田から速達が来ています、何だろう、と云ってあけたら、「本日は至急御通知することが出来ました」という冒頭で、達治の嫁がきまり、先方はいそがしくもあるし七日以後にと申しますが、当日の式服だけでよいからということにして、お客は秋になってすることにし、式を六月六日に挙行。「六月四日に法事早メマス」とお母さん、ペンの跡淋漓というはりきりかたでお書きです。前の河村の親類の高森の熊野写真館の心配で玖珂の迫口家の三女二十一歳とも子という人だそうです、体格良、女学校は優等、という達ちゃんかねてのぞみの条件で、おまけに美人の由です、大変結構です。多賀ちゃんも前にこのひとのことが話にのぼっていたのを知っていたそうです、玖珂の迫口というとあああの家というところだそうですね、御存じ? 父親という人はアメリカにいる由、息子も本年中学を出て今春渡米したそうです。仲人も土地では家柄だそうです、達ちゃん伍長になるとなかなか万事楽と大笑いです。

まあこれで私たちほんとに安心いたします、よかったこと、ねえ。