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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

でも、これも大笑いなのですが、何と急なさわぎでしょう、私の閉口ぶりお察し下さい。お法事が四日では三日の桜で立たなければなりません、六日におめでたい式につらなるためには。それのための服装が入用です、東京でのようにはゆきませんから。それを大至急作らなければなりませんが、私はこの丸さ故、かり着一切だめ、出来合も間に合わず。可哀そうでしょう? 黒の裾模様というものがいるのよ、これはいくら原稿紙に描写しても着られないのですものね、あした大童です、しかも三日迄夜の目もねずの勢で仕事片づけなくては行かれないし。そういう裾模様を着て厚くて大きい丸帯をしめて、お姉様は兄の代理にいくつおじぎしたらいいのでしょうか、あなうれしや苦しや。式は高森というところの佐伯屋という家で双方出合って出合結婚(とかいてある)をなさる由です。

お祝に、お父さんのときほど持って参りましょうね。お嫁さんとお嫁さんの実家へはどんなお土産がいるでしょう、お嫁さんへは何か私たちから記念になるものをあげるべきでしょうから。お実家へはのりのつめ合わせでもあげましょう、それでいいでしょう? 余り柄にないことすると、これからずっとのことですから。