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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
を「その年」として見ようかと思います、内容はふさわしくないこともないのですから。
只今電報つきました。すぐききましたら旅行から今朝かえりました由。そして又出かけて留守。今夜多分かえるでしょう、出さき不明の由です。夜こちらへ電話かけるとのことです。
寿江子がおなかをわるくして寝ました。見舞いに行ってやるつもりです。あつくかければ苦しいし、おなか冷えるようだったり、今はわるい気候ですね。
林町の連中は皆開成山です、寿江子一人留守い。それで寝ているからすこし可哀想でしょう。
アルスの写真のこと、一寸きいて見る心当りあり、本やにもたのんで見ましょう。
いつかの写真ブックについての感想同じでしたね。相当悪趣味なのもありましたね。『少女の友』なんかに、目の大きい夢二の絵より一層病的な絵をかいて抒情画と称して少女たちにやんやとうけていた中原淳一が、健全な銃後の少女のためによくないと禁じられました。泣いた子があったそうです。作品でも絵でも、芸術の本性からくさったものがあるということと、しかしそれを芸術外の力で掃除するということとは、一つことでないところが微妙でむずかしいところなのでしょう。