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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

07 一九四〇年(昭和十五年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页

青空文庫

もうこういえばおわかりになるでしょう。あらホント? と、のり出した私が何を考えたか。十坪住宅のことは頭から消えて居りませんものね。私たちの想像力は旺盛に動き出して、そのような空気の中で安らかそうに体をのばしているひとの姿まで見えます。だって百坪で五十円よ、たった五十円よ、五百坪で 250 よ。

そしたら、稲ちゃんの手紙でね、夏しか住みにくくて、その夏には四五千の都会人士がつめかけて、名流人の御別荘櫛比の由。ハアハア笑ってしまった。だって、五十銭ときいて私たちがハッとするころは、もう何年も前に人が行くだけ行ってしまっている。ハアハア笑って、又忽ち行雲流水的風懐になりました。芝のおじいさんのところのことなんかで、私はよけい注意をひかれたのでしたが。フーフーいって仕事している間に、そこまで時間と空間とのひろがった想像まで働かすのだから私もどちらかというとまめでしょう?

林町はあの食堂が北向でさむいので、南の客間を食堂居間にして、上成績です。行っても家庭らしくなりました。日光もあって。私は、十二月に入ったらこの部屋をすこし模様更えして、茶の間のタンスを四畳半に入れます。