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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
本当の芸術的なところがあったのね、八重子は何だか子役から段々仕立てあげられたというものに見えます、そういう演技とつまらなさがあります。歌舞伎では「演劇の健全性」というもののむずかしさがむき出しに出ていて。ひどいものをやっていました、全然伝統的なものは別として。明日校正わたしたら、あの岩波の小さい本を一気によんで、それから又『文芸』のつづきを一がんばりやって、二十日にはすっかりさばさばとなって、それから大した計画があるのよ。もし咲枝たちが国府津へ行ったらば三日ばかり行って息を入れて来ようというのです、いかが? 賛成して下さいますかしら。それから、暮と正月を長いもののプランでこねて、一月は半ばごろから書き出す予定。
お恭ちゃんは多賀ちゃんがいなくなったらたよるものがなくなったから却ってしゃんとしてやりそうです。でも多賀ちゃんはようございました、ともかく腕に自信をつけたし、私たちもいろいろ手助ってもらえて。今本につける表の仕事やって貰っている娘さんに来て泊って貰うのよ、もし私が国府津へ行くことになれば。そのひとに索引もやって貰います。
戸塚では、又蓼科へゆく由です。