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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
07 一九四〇年(昭和十五年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 289,044 字 · 575 页
私は経済上の困難と人間的価値とは、特に現代の社会では別であると考えているのですから、その人に経済能力が奪われたって、本質がそのようなものであれば敬意をもってその状態が見らるべきと思います。儲けられるのに儲けないもの好きとか、ころがり込むところがあると思えばそんな理窟もこねている、というような人間のみかたには、一致出来ないのよ。おわかりになるでしょう? だからなるたけ無理はしないで倹約してやって行くのが一番自然でいいのです。
一月からは当分小説に集注いたしますから外の仕事はのばして貰うようにします。小説を五枚―七枚ぐらいずつ一日にかいてためてゆくたのしさ。今からたのしみです。
友情についての点。自然の条件の外に異性の友人をつくりたがる心は、遊びやの気持と紙一重ということは本当ですし、私のあの友情論は、そういう若いひとの漠然とロマンティックに描かれている友情という雲を、リアルな生活へひきおろして、恋愛と区別して、そして示そうとしたのが目的でした。その点できっと全体とすると、恋愛と友情とのちがうべきことを強調してあなたの云っていらっしゃるような同僚感と、更にその間でも私生活に交渉をもち得る人が友人であるという段々の区別は、明かにされていなかったのでしょうね。