轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
「税のしるべ」大蔵財務協会、1955(昭和30)年1月~7月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 89,364 字 · 178 页
幹太郎には十左の云う意味がちょっとわからなかった。彼はおそるおそる訊いた。
「と、仰しゃいますと」
「つまり――」と、十左は云った、「もうこの道場を出て、他の師に就かれるがよいというのだ」
「お待ち下さい、それは」と、幹太郎は吃った、「それは思いもかけぬお言葉です。私はこの道場でもっと修行を致しとうございますし、それに、これまでの習慣によると、今日の試合で私の席次はあがり、代師範のなかにはいる筈だと思うのですが」
「いや、それはできない」と、十左は云った。
「なぜですか」
「そこもとはわが流儀に外れた技を遣う、この道場では流儀外れの技を教えることはできない」
「どこがですか」
幹太郎はかっとなった。
「私のどこが流儀に外れているんですか」
「それは自分で考えることだ」
「いや仰しゃって下さい、私に悪いところがあれば、それを指摘して下さるのが貴方の責任ではありませんか」
「それは師弟のあいだのことだ」
「師弟のあいだ!」と、幹太郎は息をのんだ。彼は殆んど息が詰りそうになった、「では私は、もうこの道場の門人ではないのですか」
「もういちど云おう、そこもとは会得すべきものはすべて会得した、これ以上わしの教えることはない、それだけだ」