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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

二

一方、蜀の成都は、その後、どういう情勢にあったかといえば、政務すべて孔明の裁断にまかせられ、旧臣みな結束して、玄徳の歿後も微動だにしないものを示していた。

そのあいだに、故車騎将軍張飛のむすめは、ちょうどことし十五になっていたので、幼帝劉禅の皇后として、正宮にかしずき入れることとなった。

ところが、この祝典があってからまだ幾日も経ないうちに、魏の大軍が五路より蜀に進む――という大異変が報ぜられた。しかもかんじんな丞相孔明は、どうしたのかここ数日、朝廟にもそのすがたすら見せなかった。

二

国境五方面から危急を告げてくる早馬は櫛の歯をひくように成都の関門を通った。

事態の重大性と、朝野の不安は、そのたびに濃厚になった。伝えられる五路の作戦による魏の大侵略の相貌は、次のようなものだと一般のあいだにも喧伝された。

第一路は。――遼東鮮卑国(遼寧省)の兵五万が、西平関(甘粛省・西寧)を犯して四川へ進攻して来るもの。

第二路は。――南蛮王(貴州・雲南・ビルマの一部)の孟獲が、約七万をもって益州の南部を席巻して来ようとするもの。

第三路は。――呉の孫権が長江をのぼって峡口から両川へ攻め入るもの。