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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

三

左右両軍は、先鋒であり、自分たちは後ろに置かれたからである。

しかし孔明は、

「王平、馬忠はご辺たちよりも、地の理に詳しい。それに年もとっているから、奇道を行っても過ちが少ない」と、ふたりの血気を制して、両翼がふかく進んだ後から中軍は出動した。そして帷幕の諸将に囲まれた四輪車の上に、孔明は悠々と羽扇をうごかして、異境の鳥や植物の生態などを眺めていた。

三

蛮軍は五渓峰の頂に防塞を築いて、三洞の兵を峰つづきに配し、ひそかに、

「中国の弱兵には、この嶮峻さえ登ってこられまい」と、驕っていた。

月明を利してその下の渓道まで寄せてきた王平、馬忠の先手は、途中で捕えた蛮兵の斥候を道案内として、間道を伝い、道なき道を攀じ、夜半、不意に敵の幕舎を東西から襲った。

喊の声と共に、各所から花火のような火が噴いた。流星の如く炬火が飛ぶ。蛮陣の内は上を下への大混乱を起している。

蛮将の金環結は、手下を叱咤しながら、炎の中から衝いて出た。その影を見ると、蜀軍のうちからも、誰やら一将が現われて、猛闘血戦の末、遂にその首を取って、槍先につらぬき、

「手抗う者はみなこうだぞ」

蛮軍の兵に振り廻して見せた。