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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

――が、その雲脚の如き勢も、城の間近まで来たかと思うと、ぴたと止って、ただ遠く潮騒に似た喊声が聞えて来るのみだった。

「いぶかしいものがあるぞ、敵の城には」

「人もないようにしんとしておる。大手の門を開け放して」

「誰かひとり濠橋の上に立っているようだが――よもや人形でもあるまいに」

「何か深く謀っているにちがいない。めったには近づけぬぞ」

魏兵の先鋒は、疑心暗鬼にとらわれてそこから進み得なかった。

中軍にいた曹操は、

「何をためらっているか」と、みずから陣前へ出て、かかれかかれとばかり、下知した。

日は暮れかけていた。暮靄を衝いて、徐晃の一隊がわッと突進する。張の兵もどっと進む。

だが、橋上の趙雲は、なおびくとも動かないので、徐晃も張※(「合+おおざと」、第4水準2-90-10)もいよいよ気味悪く思ったか、急にまた、途中から駒を返そうとした。

すると初めて、趙雲が、

「やあ、魏の人々。せっかく、これまで来ながら、ものもいわぬまに逃げ帰る法やある。待ち給え、待ち給え」と、呼びかけた。

はや曹操までが後から続いてきたので、張※(「合+おおざと」、第4水準2-90-10)や徐晃も、ふたたび勇を鼓して、濠ぎわへと馳け向ってきた。