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さんごくし
三国志(七)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。
N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁
その頃、夏侯存と戦っていた関平もくずれ立ち、荊州軍は全面的な敗色につつまれたかに見えたが、やがて二十里も追われてきた頃、こんどは逆に、追撃また追撃と狂奔してきた曹仁や夏侯存などの魏軍が、突然、乱脈にさわぎ始めて、
「どこだ、どこだ?」
「あの鼓は。喊声は?」と、前の敵はおいて、うしろの埃に惑い合った。
濛々たる塵煙の中に、味方ならぬ旗さし物や人馬が見えだした。わけて鮮やかなのは「帥」の一字をしるした関羽の中軍旗であった。
「すわ、退路を断たれるぞ」
あわてて引っ返してゆく大将曹仁のまえに、さながら火焔のような尾を振り流した赤毛の駿馬が、莫と、砂塵を蹴って横ぎった。
これなん赤兎馬であり、馬上の人は関羽であった。
「――あっ、関羽」
と、思わず声を発して、胆をとばしたまま逃げてゆく曹仁の姿に気がつくと、関羽は振り向いて、
「やよ、魏王の弟。あまりあわてて馬より落ちるな。きょうはあえて汝を追うまい。悠々逃げよ」
と、手の青龍刀を遊ばせながら高々と笑った。
偽って敗走した関平、廖化の二軍は、はるかうしろに味方の鼓を聞くと、にわかに踵をかえして、圧倒的な攻勢に出た。