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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

慇懃、礼を尽して云った。

李意は渋っていたが、

「詔とあれば、ぜひもない」と、黙々、陳震について、山を降りて行った。

玄徳は、やがてこの仙翁を前に、忌憚なく述懐して質問した。

「すでに存じておろうが、朕は、弱冠のときより関羽、張飛と刎頸の交わりを結び、戎馬奔命の中に生きること三十余年、ようやく蜀を定めて後、諸人は、朕が中山靖王の裔であるところから帝位に推しすすめ、ここに基業を創てたが、計らずも、朕の義弟二人は害せられて、その讐たる者はことごとく呉の国に在る。ゆえに、朕は意を決し、呉を伐つため、これまで進発して来た途中であるが、前途の吉凶いかがあろうか。忌憚なく、仙翁の卜う旨を聞かせてもらいたい」

李意は、膠もなく云った。

「それは分りません。すべて天数――すなわち天運ですから」

「翁は、その天数にくわしいと承る。ねがわくば易を垂れよ」

「山中の賤人。何ぞ、そのような大宇宙のことをよく知り得ましょうや」

「いやいや、それは翁の謙遜にちがいない。どうか、一言なりと、朕に教えてくれ」

再三の下問に、李意もとうとう否みかねたか、

「では、紙と筆をこれへ」と求め、やがて黙然と、何か描きだした。