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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

――焔車、地雷の計はみなそれから実行を思い立ったものである」と、一場の兵法講義にも似た打ち明けばなしを聞かせた。

諸将はみな、丞相の神智測るべからずと、三嘆して拝服した。孔明は翌日、陣中の檻房から、孟獲、祝融夫人、弟の帯来、また孟優にいたるまでを、珠数つなぎにして曳き出し、愍然と打ちながめて、

「さてさて、性なき者には遂に天日の愛も透らぬものか。人とも思えぬ輩、見る眼も羞ず。早く解いて、山野へ帰せ」と、々水の去るが如く、愛憎を超えた面持で彼方へ行きかけた。

すると突然、異様な泣き声を発して、

「丞相っ……。待って、待ってくれ」

孟獲がさけんだ。いや縄目のまま跳びついて、孔明の裳をくわえた。

「何か?」

眼の隅から見ていうと、孟獲は、額を地に打ちつけんばかり頓首して、

「悪かった、寛されい」と、吐くような声をしぼった。そして嗚呼々々と、しゃくり泣きしながら、「無学野蛮なわしらではありますが、いにしえからまだ、七たび擒人にして、七たび放したという例は、聞いたこともありません。いかに化外の人間たりと、どうしてこの大恩に感ぜずにおられましょうか。……ゆるして下さい。