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さんごくし

三国志(七)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《三国志(七)(さんごくし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N1,點詞查義。

N1 · 挑戰 · 新字新假名 · 371,916 字 · 744 頁

青空文庫

おゆるし下さい」

「ううむ……真にか」

「な、なんで。もう思うだに、前非のほど、空怖しゅうございます」

「よし。ともに歓ぼう。共に栄えよう」

孔明は膝を打って、自ら彼の縄目――また祝融夫人、孟優、帯来など、眷族の縄をみな解き免して、

「初めて、孔明の心が透った。否――王風万里、余すものなくなった。予もうれしく思う」

孟獲の眷族は口を揃えて、

――丞相の天威、王風の慈しみ、南人ふたたび反かじ、と称え誓った。

孔明はまた語を改めて孟獲にいった。

「ご辺、いま真に、心服なしたか」

「ご念まではありませぬ」

「では、予と共に在れ」

と、彼は畏るる孟獲の手をとって、帳上に請じ、夫人一族にも席をあたえて、歓宴を共にし、また杯と杯とを以て、こう約した。

「ご辺の罪は、すべて孔明が負う。孔明の功はご辺に譲ってやろう。故にご辺は長く以前のとおり南蛮国王として、蛮土の民を愛してやれよ。そして、孔明に代って、王化に努めてくれ」

聞くと孟獲は、両手で面をおおって、しばしは……慚愧の涙を乾かさなかった。宗族たち一同の感涙と喜躍は事あらためていうまでもない。

二

遠征万里。帰還の日は来た。

顧みれば、百難百戦、生命ある身が奇蹟な気がした。