Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「あれッお頭領、待って――」
「えいやかましいこの阿女ッ」
雨龍太郎は憤怒の形相凄まじく、左手に捻った大刀の鯉口、ぱッと柄手に唾をくれるや右手をかけてぎらりと一閃、お延を目がけて飛びかかった刹那――ブーンと風を切って上から飛んで来た一筋の投げ槍、あッと血飛沫が散ったと思えば、雨龍太郎は見事胸元を突き貫かれてと仰向けに殪されていた。
お延は牡丹色の返り血を浴びたので、自分が斬られたと錯覚したのか、ふらふらと岩角の上へ横倒れになってしまった。
新九郎はこの隙こそ、毒婦の手から遁れるところと思って岩蔭から身を起した時、飛鳥の如く頭の上から岩根づたいにするすると跳び下りて来た一人の男――それは手練の投げ槍を飛ばした小六であった。
「お延、お延――」
小六に抱き起されたお延は、真っ蒼な顔を振り上げたが、それが新九郎でなかったばかりか、雨龍の眼を偸んで、ほんの浮気な淫れ対手になっていた小六であったので、ぎッくりと身を刎ね起して逃げようとするのを、
「これどこへ行くのだ、何を逃げる?」
と小六は手強く取って押さえてしまった。
「もうこうなればお互いに身の思案をきめなくっちゃあならぬ。