Japanische Klassiker mit Furigana
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けんなんじょなん
剣難女難
吉川 英治
Lesen Sie 剣難女難 (けんなんじょなん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 243.807 Zeichen · 482 Bildschirme
「エーイッ」
と十太夫は威嚇の気合いを放った。
「くそッ、この鮠めッ」
十太夫は愕いた。人を鮠だと思っている。しかし、儀助にとっては、人間を鮠だと見るのが槍の極意だ。いまや烈火の如く憤った十太夫が、木剣も挫けろと打ち込んできた途端、
「畜生ッ鮠め」
と突き出した儀助の穂先が、狙い違わず十太夫の額へ、ポンと当ったので、あッと叫んで十太夫は仰向けにどんと倒れた。
「どうでがす、先生」
「ま、参った」
と彼は苦々しい顔で袴の土を払っている。それを見た新九郎は、まったく感に耐えてしまった。かかる技に立ちむかっておくのも、いい修行となるであろうと思った。
「あいや儀助殿、しばらく待ってくれい」
「やあお侍様、お恥かしいことでがした」
「いやいや、驚き入った腕前じゃ。一つ拙者に指南してくれぬか、立合って見てくれい」
「では一つやって見ますべえ」
「断っておくが、拙者はまだ竹刀も木剣も持ったことがないゆえ作法は知らぬぞ」
「へへへそんな嘘を云っても油断はしねえ」
「いや、まったくじゃ」
と新九郎は木剣を持って進んだ。
事実、新九郎自身が告白した通り、彼は生れて初めて木剣に手を触れたのである。